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腰痛:その腰痛は大丈夫?今すぐ受診すべき危険サインと見分け方

こんにちは、院長のたかのです。冬はもともとある腰痛の症状が強くなりやすい時期ですが、その症状に隠れた危険な腰痛もあります。今回は受診すべき腰痛のポイントについてお話をさせていただきますね。

12月に入り、朝晩の冷え込みが一段と強くなってきましたね。体がこわばる季節になると、「なんだか腰の調子が悪い」と感じる方が一気に増えてきます。

 

外の寒さと室内の暖かさによる温度差も、筋肉や関節の動きを鈍らせ、もともとあった腰の違和感が強く出やすい時期です。

 

そんな中で、「いつもの腰痛だから」と湿布や自己流のストレッチでやり過ごしてはいませんか? 


実は、腰痛の中には“放っておくと取り返しのつかないタイプ”が隠れていることもあります。普段の生活で頻繁に腰痛を感じる方こそ、「この腰痛はしばらく様子を見ていいものなのか」それとも「すぐに受診すべきなのか」を知っておくことがとても大切です。

回はその見分け方と注意すべきポイントについてお話しします。

 

☑原因とメカニズム
「腰痛」とひとことで言っても、原因は実にさまざまです。多くの人に見られるのは、筋筋膜性腰痛(筋肉や筋膜の炎症)、腰椎椎間関節症(関節のかみ合わせの不具合)、椎間板ヘルニア(神経圧迫による痛み)など。このあたりは体が発する“限界サイン”であり、慢性化させないためにも放置は禁物です。

 

しかし、中には「待ってはいけない腰痛」があります。特に注意したいのは次の二つです。 
それは① 腰椎圧迫骨折 と ②内科疾患(臓器原因)の腰痛 です。


まず、①腰椎圧迫骨折について。これは転倒や尻もちなどのケガで起こることもありますが、実は“いつの間にか骨折”と呼ばれるタイプも多いのです。日常生活の中で少しずつ骨が潰れていくもので、特に60代以降の女性に多く見られます。これは女性ホルモンの減少により骨密度が低下していることが大きな原因です。


やっかいなのは、このタイプの骨折が「普通の腰痛」と非常によく似ている点です。動くと痛い、朝起きられない、寝返りがつらい…といった症状で長く我慢してしまうケースが多く、気づいた時には骨が完全に潰れてしまい、**背骨が後ろに曲がった“亀背変形”**に進行していることもあります。一度変形してしまうと、元の姿勢を取り戻すことはほぼ不可能です。


次に、②内科疾患由来の腰痛。これは一見、整形外科の症状に見えて実は別の病気が隠れているケースです。 たとえば、腎臓の病気で背中や腰に鈍い痛みが出たり、がんの脊椎転移により腰痛が生じる場合もあります。こうした痛みは筋肉や関節の問題ではないため、湿布やストレッチでは当然改善せず、むしろ放っておくと生命に関わることもあります。

亀背変形

圧迫骨折のレントゲン

がんの骨転移

☑日常で気をつけたいサイン
以下の項目のうち、いくつかに思い当たる方は要注意です。単なる腰痛と思っていても、体が出しているSOSのサインかもしれません。


1.起床時の痛み 
 朝、布団から起き上がろうとすると強い痛みがあり、なかなか身体を起こせない状態が毎日続いている。


2.寝返り時の痛み 
 夜中に寝返りを打つたびに目が覚めるほど痛い。仰向けでは眠れず、横向きのままじゃないと辛い。


3.痛みの程度や頻度が増している 
 1ヶ月前よりも痛みが強くなっている、または痛みの頻度が明らかに増えている。


4.お風呂の後も痛い 
 通常、筋肉由来の腰痛は入浴や温めで楽になるもの。湯上がり後も痛みが続く場合は骨や内臓の関係が疑われます。


5.65歳以上の女性で痛みが続いている 
 骨密度が低下しやすい年代。長く続く痛みは「いつの間にか骨折」の可能性を考える必要があります。


これらの症状がある方は、「なんとなくの腰痛」では済まされない可能性があります。ぜひ早めの医療機関受診をおすすめします。

当院で早期発見し早期治療を開始した腰椎圧迫骨折のギプス固定

☑まとめ
医療の基本は「早期発見・早期治療」です。 
圧迫骨折であれば、早期に治療を始めることで亀背変形を最小限に抑えることができます。

内科疾患が原因の腰痛でも、早く見つけるほど回復のチャンスが広がります。

 

 

また、今回ご紹介した2つのタイプ以外でも、長年続く腰痛や慢性のこりは、身体のバランスの歪みが影響していることが少なくありません。その歪みを整えることで、痛みの根本改善に近づくことができます。


当院では、整形外科勤務経験を活かし、痛みを取るだけでなく体全体のゆがみを整える施術を行っています。 
年末の忙しい時期こそ、ご自身の体をいたわるチャンスです。 
「ずっと同じ腰の痛みがある」「なんとなく不安」という方は、放置せず、お気軽にご相談ください。