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慢性痛:腰痛、肩こり、頭痛、膝痛...ずっと続く慢性症状。その痛み、自分で「取れない」と決めていませんか?

こんにちは、院長のたかのです。ずっと続く慢性痛、日常で痛みを我慢する状態が当たり前になっている患者さんが見受けられます。今日はそんな慢性痛のお話をさせていただきますね。

患者さんとお話ししていると、「もう歳だからね」「仕方ないよね」と、痛みに対して諦めたような言葉を聞くことがあります。病院でも「加齢による関節のすり減りですね」と説明され、「年のせいだから仕方ない」と思い込んでしまう方も多いでしょう。 


確かに、年齢を重ねると骨や関節、筋肉は少しずつ変化します。それは自然な現象です。しかし、「痛み=加齢のせい」と決めつけてしまうと、本来の回復力を自ら止めてしまうことがあります。 


人の体にはホメオスタシスという「治そうとする力」があります。その働きは、脳の認識や心の状態によっても変わることが分かっています。「もう治らない」と思ってしまうことが、痛みを長引かせる要因になることもあるのです。 


諦める前に、今の痛みが本当に“年齢のせい”なのか、いま一度見直してみましょう。

☑原因とメカニズム
確かに、加齢に伴って関節の軟骨がすり減ったり、変形が進むことはあります。こうした変化が痛みの引き金になるケースもあります。ですが、必ずしも「変形=痛み」とは限りません。 


レントゲン上ほとんど変形がないのに膝に水が溜まる方もいれば、O脚が進行していても痛みを感じない方もいます。つまり、痛みの原因は「見た目」や「形」だけでは説明できないのです。


痛みのメカニズムは主に3つあります。
1. 患部の状態(末梢) — 炎症や損傷など、直接的な要因。

2. 脳・脊髄(中枢) — 痛みの信号をどう認識しているか。
3. 関連部・筋膜(全身連動) — 姿勢・筋膜・内臓のつながりから影響を受けるケース。


慢性痛では、これらが複雑に組み合わさり、「痛みが記憶される」ような状態になることがあります。この“痛みの記憶”が、痛みを長引かせてしまう原因のひとつです。

☑変形性膝関節症の進行レントゲン

右に行くほどすり減り変形している

 

症状・関連性の解説
痛くて病院に行ったのに画像を撮ったら「異常なし」と言われて、「え?痛いのに?」、「じゃあなんでこんなに痛いの」、「異常がないってどういうこと?」と疑問に思ったことはありませんか?
痛みと構造の関係については、複数の研究で「必ずしも一致しない」ことが示されています。

•変形性膝関節症:Felsonら(New England Journal of Medicine, 1987)の研究では、X線上の変形度合いと自覚的な痛みの強さには弱い相関しかないと報告されています。つまり、「変形の重い人が必ず痛い」とは限りません。


•腰痛:日本整形外科学会の『腰痛診療ガイドライン(2021)』によれば、腰痛の約85%は「非特異的腰痛」、つまり明確な構造的異常を特定できないとされています(Airaksinen et al., Eur Spine J, 2006 も同様の報告)。


•椎間板ヘルニア:Bodenら(J Bone Joint Surg Am, 1990)は、無症状者のMRI画像のうち76%に椎間板ヘルニア様所見が見られたと報告しています。これは「異常があっても痛くない」ケースが多数存在することを意味します。


•慢性痛と心理要因:Lancet誌(Borsook et al., The Lancet Neurology, 2018)は、慢性疼痛の多くで「脳の可塑性(Pain Matrix)」が関与し、ストレスや不安が痛みを強化する仕組みを明らかにしています。また、抗うつ薬の投与によって痛みが軽減するケース(Dworkin et al., Pain, 2007)も報告されており、これは「痛みの感じ方」を脳レベルで整える治療の一例です。


これらの報告を総合すると、痛みは「関節や筋肉の障害」だけではなく、「脳」「神経」「心理」「体のつながり」も関係していることがわかります。 


つまり、「痛みの原因は一箇所ではなく、全身と心のバランスの問題」なのです。
「痛みがある状態が普通」と脳が記憶してしまっている人もいます。この場合、まず「痛みは変えられる感覚である」という認識をもつこと。とくに長年続いている慢性痛の場合は「体を整えながら、脳の認識も変える治療」に取り組むことが重要です。

 

☑生活習慣・対策法
とはいえ慢性症状は、まず病院で検査を受け、重篤な疾患の有無を確認することが大切です。

痛み止めや湿布、サポーターを試すのも第一歩です。 
ただし、これだけでは根本が改善しないことが多く、次に必要なのは“体の使い方”と“感じ方”のリセットです。

おすすめのセルフケアとしては、
①ゆっくり湯船に浸かり、体を温める
②手首や足首をゆらゆら動かし、力みを抜く
③指を優しくグーパーしながら、「体がタコのようにゆるむ」イメージをする
④声に出して「痛くない」と唱えることで意識を変える


これはイメージ療法の一種で、脳が「力を抜いて良い」と判断しやすくなります。心と体の連動を再教育する簡単な方法です。


そして、患部だけでなく、全身の歪みや筋膜のつながりを整える治療を受けることです。
当院では、整形外科で培った知識をもとに、
•患部治療=理学療法、物理療法
•中枢/全身連動の治療=背骨、筋膜、神経連結、歪みを整える
を組み合わせることで、痛みを取るだけでなく「ぶり返さない体づくり」を目指しています。

症状が長いほど、体は「歪んだ状態が通常である」と記憶してしまうため、正しい状態を定着させるのに時間がかかります。

 

これは歯のクリーニング同様、長年ついた汚れはどんどん取れづらくなります。

 

少しの症状でも我慢せず、痛みや歪みが体に定着してしまう前にご連絡ください。

☑まとめ
「歳だから」「仕方ない」と痛みを受け入れてしまう前に、ぜひ一度、体の声を聞き直してみてください。 
痛みは決して“年齢による宿命”ではありません。体と脳の両方にアプローチしていくことで、痛みは軽減し、再発しにくい体に変わっていきます。 


当院では、理学的治療と全身の歪み調整を組み合わせた施術で、痛みの根本改善を目指しています。慢性的な腰痛・肩こり・膝痛・その他痛みや筋肉のハリ、コリ、重だるさなどでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。