
今回のテーマは「花粉症と腹式呼吸」です。
そもそも花粉症はなぜなるのか?
完全に治療できるのか?
どのようにすれば緩和できるのか?
実際のところアレルギーのメカニズムは複雑で、完璧には分かっていないのが現状です。
この場合やはりお薬を使う対処療法が一番の手段になりますが、その他の手段としてどの文献にも推奨されているのが
⇒免疫機能の向上または正常化
その他に、これはこれから出産、小さいお子さんに限定されますが、
⇒なるべく乳幼児期は(0~3歳)多少汚いものでもいろんな物に触れさせる事
です。花粉症だけでなくアレルギー全般に強くなる可能性もあります。
そもそもなぜ花粉症を発症するのか
そのキーワードになるのが
①コップ理論
②シーソー理論
③衛生仮説

①コップ理論
⇒アレルギーのない人でも花粉などのアレルゲンを浴び続けていると、コップやバケツの水があふれるように身体の許容量を超えてアレルギー症状が出てくる。という説です。
でもこれは今花粉症の根本治療として期待されている「舌下(ぜっか)免疫療法」というスギ花粉の成分を精製したエキスを毎日なめて、花粉に対する過度なアレルギー反応をさせなくする治療法が存在して効果も実証されつつあります。このコップ理論が正しかった場合、さらにコップに水を注ぐ行為になるため矛盾しています。
それと近年子供に花粉症が増えていることとも矛盾しているため、従来言われてきたこのコップ理論は疑問視されています。

②シーソー理論
⇒花粉の飛散量やストレスが増して、身体の抵抗力を上回るとシーソーが大きく傾き、シーソーの下の風船が爆発して花粉症を発症する。
ゆえに免疫バランスさえ保たれていれば、適切にシーソーが保たれる。
という説です。

また、細かい免疫種類によってもこのシーソー理論で解説している内容がありました。
身体の中に「細菌・ウイルス担当の免疫」と「アレルギー担当の免疫」があり、普段はバランスが保たれている
花粉が体内に多くなると「アレルギー担当の免疫」の負担が増え、くしゃみや咳、目のかゆみなど花粉症の症状が出てきてしまう
という考え方です。
ここ最近言われているシーソー理論の細かい免疫系の話に関しては1989年にイギリスのStrachan博士がアレルギーの子どもを対象とした疫学調査をもとに提唱した「衛生仮説」に似ています。

③衛生仮説
⇒乳幼児期に多くの微生物やバクテリアに触れる機会が多いほどTh1(細菌・ウイルス担当)の免疫が発達する。
そうなるとTh2(アレルギー担当)の免疫発達とバランスがとれる。よって乳幼児が自然環境の中でさまざまな感染症にかかることで正常な免疫機能の発達が助けられアレルギーリスクが低下するという説です。

つまりこの理論から言えば0~3歳時までの乳幼児期は、多少汚いものでもなるべくいろんなものに触れさせた方がアレルギー発症はしづらいということになります。
出産や発育環境が年々衛生的な状態(きれいすぎる)になっていることが要因かもしれません。最近では小学校低学年の子供でも花粉症となり低年齢化していることからこの理論は納得できます。
これまでの内容だと①乳幼児期にたくさんの物に触ること(免疫機能発達)②舌下免疫療法③従来からの内服・目薬・点鼻薬などの対処療法の3つが対策となりますが

まだまだ科学データには乏しく治療法としては確立されていませんが、冒頭に述べた免疫機能の向上、正常化作用として注目されているのが「腸」です。なぜ腸が注目されているかというと腸に存在する腸内細菌が、免疫機能に大きな影響を与えているからです。
腸は栄養の消化吸収の役割だけでなく、常に多くの細菌やウイルスなど外来異物と戦って処理しています。つまり腸は生体防御の最前線でありヒト最大の免疫組織と言われています。腸内には1000種類以上およそ100兆個もの腸内細菌が存在するため腸管免疫に影響を与えています。
とくに腸内細菌の善玉菌は免疫刺激健康維持老化防止などへ影響し、
代表的なものではビフィズス菌や乳酸菌で、ヨーグルトなどに含まれて広く知られています。

善玉菌の種類はすごい種類が多く各メーカーから花粉症に良いとされているヨーグルトなどが出されていますので興味のある方は検索してみてください。実体験からLG21ヨーグルトをおすすめされたので試しています。 ※まだ花粉症に対する効果は検証中
運動器からのアプローチで免疫機能(腸)に良い影響を与えられる運動は「腹式呼吸」です。ただの呼吸?と思われるかもしれませんがしっかりお腹の筋肉意識して全力で行なう腹式呼吸はしっかりとした運動になります。

◇方法
①仰向けで膝を立てる姿勢
②両手を下腹部(腸)に当てる
③鼻から息を吸って両手を持ち上げるように
お腹を膨らませて、一瞬止める
※この時胸は一切動かないのが理想

④ストローを吹くように口をすぼめて
口先から小さく勢いよく息を吐きながら
お腹をへこませ手が沈んでいく
※この際20秒かけて長く息を吐く
※お腹で腰側を押し、腰でベッド下に押すように
この①~④を10回~20回1セットとして
1日3~4セット行なうのがが望ましいです。
呼吸によって下腹部を大きく動かすと腸が刺激され腸内細菌の動きも活発になります。
ちなみにこれは腹部のインナーマッスルトレーニングでもありますので、腰椎を支え腰痛予防にもつながります。花粉症対策として腸の免疫機能を刺激するためにぜひこの「腹式呼吸」を実施してみてください。詳しい指導ご希望の方はぜひご来院ください。