こんにちは髙野です。
今回の内容はとくにスポーツ選手の保護者、コーチ、
なぜこのようなお話をするかと言うと、来院する学生、
「痛くても我慢してテーピングをして出なさい」
「我慢できないなら試合には出させない」
「根性が足りない」
もしあなたが指導者や保護者として、あるいは選手として、一度でもこのような言葉を投げかけたり、言われたりしたことがあるなら……今日のお話はこれからの選手生命/指導の意識が変わるきっかけになるかもしれません。
今日は、スポーツ現場の「当たり前」を少しだけ疑い、選手が持っているポテンシャルを100%発揮するために必要な、「本当のコンディショニング」についてお話しします。
☑タイトル
1.間違った『根性論』の認識
2.根性で乗り越えられない領域
3.体を追い込むだけが練習ではない
4.共通意識は試合で良いパフォーマンスをして結果を出す事
5.スポーツをがんばる選手を支える指導者、保護者の方へ
”間違った『根性論』の認識”
私は自分自身が学生時代、選手コースに所属する水泳選手でした。
その経験から水泳コーチの資格も取り、スイミングスクールで実際に選手コースのコーチをしていた経験もあります。
ですので同じような発言を自身がされた事もありますし、しているコーチを側で見ていた事もあります。自分自身の選手時代の苦い経験は前回のブログに記載しています。
現代の多くの指導現場では、「根性論=古い考えで間違い」として認識されていますし、
「根性論や精神論が選手生命を短くしうること、長期的には深刻なダメージにつながること」が臨床や指導現場の視点から述べられた文献や、「経験則だけでなくスポーツ科学の視点が重要だ」という文献が多々存在します。※
一方で私は「根性がいらない」と言っているわけではありません。身体能力を上げるために、
「きつい、つらい、痛い、苦しい、がまん」
を全く経験しないことはほぼ不可能です。
身体能力を上げる過程において少なからず根性が必要なのは今も昔も変わらないと思いますし、一概に根性=悪とは言えません。
では間違った根性論とはなんなのか。
1️⃣練習中に水分補給禁止
2️⃣トイレ禁止
3️⃣ケガや強い痛みが出てもやり続ける
例としてはこのような内容ではないでしょうか。
水分補給やトイレに関しては根性云々ではなく人体の生理機能の問題ですし、今のスポーツ科学から見れば明らかに間違いです。
体は脱水状態になると本人の意識と関係なく動かせません。よってこの辺りの古い考えは改善され周知されてきました。
難しいのは3️⃣です。
そしてそこで問題なのは、「根性で乗り越えてはいけない領域」を、周りの大人が見極められていないことです。
”根性で乗り越えられない領域”
「痛め方=損傷」には大きく分けて2つあります。
一つは、転んでぶつけたような
「急性損傷」
これは誰が見ても分かりやすい。
問題なのはもう一つ、
「蓄積損傷」
です。
蓄積損傷の代表例は疲労骨折で、他にも筋肉・腱の微細な損傷や炎症。これは同じ動作を繰り返す事でジワジワと進行します。
痛みが発生した境界線が曖昧なため、本人は痛みを隠して頑張り続け、周囲の大人も
「これくらいなら大丈夫だろう」
「根性で乗り切れ」
と判断してしまう。
痛みの明らかな原因が見えないので根性論を持ち出されやすいのです。
かといって疲労骨折の場合は、骨が折れているので踏ん張る事はできませんし、根性では乗り越えられない領域に入ります。
そして疲労骨折が発生する一歩手前の筋肉や腱・靭帯の障害もたくさんあります。
これらは損傷程度に大小があって本人の痛みの感覚によってかなり差があるため、コーチ、監督、保護者が客観的に見て
「この程度は大丈夫」
「これは休ませないとまずい」
という判断をするのが非常に難しく、専門家だとしても適切な判断をするにはある程度臨床経験を積まないとできません。
“体を追い込むだけが練習ではない”
私自身、学生時代は水泳選手で何度も
「頑張りが足りない」と言われました。
大人になりコーチとして選手に教える立場になった経験も経て、専門家になった今だから分かります。
あの日々、あんな指導をしていたコーチ達も、実は「どうケアすればいいか分からなかっただけ」なんだと。
現在、治療家として毎日多くの選手と向き合っているからこそ自信を持って言えます。
「体を追い込むだけが練習ではありません。」
プロのトップアスリートは、肉体的な練習と同じくらい「コンディショニング」を重要視しています。
彼らにとってのケアは、サボりや休憩ではなく身体能力を発揮できる状態を作る
「最高の結果を出すための、準備という名の練習」
なのです。
結果を出すための練習なのに、体を壊して試合に出れなくなっては本末転倒です。
ある文献※ではコンディショニングの目的を
「パフォーマンス向上」
「外傷・障害予防」
に集約しており、痛みに耐えることよりも予防的・調整的なアプローチを重視していますし、プロの一流選手やアスリートで、競技動作や筋トレ持久力アップだけを行なっている選手はいません。
“共通意識は試合で良いパフォーマンスをして結果を出す事”
先ほど述べたように「蓄積損傷」は身体能力を上げるための
「きつい、つらい、痛い、苦しい、がまん」
の延長線上に存在しているため、
ボーダーラインを引く事が非常に難しい、判断しにくい、ではどうすれば良いのか、、手前味噌になりますが、解決策は
「定期的にメンテナンスをする」ことです。
定期メンテナンスには大きく3つの利点があって
一つ目は判断が難しい蓄積損傷の領域に入ってないか専門家に確認してもらえること。
二つ目は体を回復させつつ持っている身体能力が発揮できるように整えること。
三つ目は急性損傷、蓄積損傷や痛み、障害の予防になること。
です。
先ほど述べた、昔の根性論にあった水分補給禁止、当然ですが水がなければ血流が落ち、筋肉や神経へ動かすために必要な酸素や栄養素が届かないため、「動かしたくても動かせない/体が言うことを聞かない」状態になります。
疲労しきってゆがんだ体もこれに似たような状態で、疲労物質が筋肉に溜まり、体のゆがみで背骨(脊髄)からでる神経が筋肉に対し動かす命令を届けることができず、結果、脱水状態と同じように
「動かしたくても動かせない/体が言うことを聞かない」
状態になるのです。
つまり定期メンテナンスによるコンディショニング調整とは
「根性論ではどうにもならない身体能力の不具合領域を可能な限り排除する役割」
ということなのです。
”スポーツをがんばる選手を支える指導者、保護者の方へ”
我々治療者、指導者である監督、コーチ、見守り支える保護者、選手自身、全員が共通する思いは同じ
「選手が持っている能力を十分に発揮して良いパフォーマンスで結果を出す」です。
そのために以外とおろそかになっているのが「コンディショニング調整」であり、指導者、保護者、選手自身がコンディショニングの重要性を知らない場合が多いため、いざ当院で調整してみて初めて
「整えるとこんなに違うんだ」と感じる子が多いです。
もし毎日体を使う練習ばかりで、ケアしたことが一度もない、という選手が身近にいる指導者や保護者の方は、一度コンディショニングを整えることをおすすめします。
※参考文献
「競技スポーツにおけるコンディショニングの再考」 小松ら
「スポーツ理学療法におけるコンディショニングとケア」 板倉ら2008
TORCH「スポーツ根性論、精神論の限界」 二重作ら2020
「パフォーマンス向上と外傷・障害予防の両立は可能か?~バイオメカニクス的知見からの検討~」 永野ら2022
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